こんにちは!看護師の仲野です。
今回は、わんちゃん、ねこちゃんのデンタルケアについてお話しします。
3歳以上の約80%の子がすでに歯周病にかかっているというデータをご存じでしょうか?
しかも歯周病は歯だけの問題にとどまらず、放置すると心臓や腎臓など全身の臓器にも悪影響を及ぼすことが分かっています。
◆ 歯周病とは?
歯周病は「歯肉炎(歯肉の炎症)」や「歯周炎(歯の周囲組織の炎症)」などの総称です。
原因となるのは、歯垢(プラーク)に潜む歯周病菌。これらの細菌が増えると口臭、歯肉の赤み・腫れ、食べ方の変化(食べる速度が遅くなる・うまく噛めなくなる)などが起こり、重症化すると歯ぐきに穴が開く、歯を支える骨が溶ける、ひどい場合は顎の骨折に至ることもあります。
◆ 効果的なホームケア
デンタルガム、サプリメント、おやつ、デンタルシート、歯垢を落としやすいフード、デンタルトイなどさまざまな製品がありますが、最もおすすめなのは歯ブラシを使った歯みがきです。
その理由は、歯周病菌の性質と潜む場所にあります。
歯周病菌は歯と歯ぐきの間の「歯周ポケット」に多く潜んでおり、酸素を嫌う「嫌気性細菌」に分類されます。酸素が少ない環境を好むため、ポケットの奥で増殖しやすいのです。
歯ブラシ以外のケア用品は基本的に歯の表面しかケアできません。歯周ポケット内の細菌を物理的にかき出し、新鮮な酸素を届けて増殖を抑えるには、歯みがきが最も効果的です。
◆ 歯みがきの進め方
無理やり押さえつけて磨くと逆効果になりやすいので、「格闘しない」「歯みがきを好きになってもらう」ことが大切です。
**ステップ1:口まわりに触られることに慣れる**
好物のフードやおやつを手から与えながら褒め、やさしく口まわり・歯・歯ぐきを触ります。まずは数秒から始め、嫌がらないレベルで毎日続けましょう。ねこちゃんには、歯ブラシで顔まわりをやさしくブラッシングしてあげるのも効果的です。
**ステップ2:歯ブラシで歯にタッチ**
唇をめくり、歯ブラシをそっと歯に当てます。嫌がらずに触らせてくれたらすぐに褒めてご褒美をあげます。
**ステップ3:実際に磨く**
タッチに慣れたら、いよいよブラッシング。最初は手前から奥へ一方向に軽く磨く程度にとどめ、うまくできたら褒めてご褒美。磨く範囲や時間は徐々に伸ばしましょう。
◆ まとめ
歯周病は全身疾患のリスクを高める怖い感染症ですが、適切な知識・治療・ホームケアで予防・管理が可能です。この機会に、ご自宅のわんちゃん、ねこちゃんのデンタルケアをぜひ見直してみてください。
当院ではわんちゃん向けに「歯みがき教室」も実施中です。
ご興味のある方は、お気軽にスタッフまでお声がけください!