こんにちは 獣医師の寺井です。
梅雨に入って、じめじめした日が続いていますね。
この季節になってくると病院で増えてくる病気の一つに『皮膚病』があります。
今回はこの時期に特に多くみられる皮膚病についてお話させていただこうと思います。
なぜこの時期に皮膚病が増えるか、そのキーワードは「高温多湿」です。
●膿皮症、マラセチア皮膚炎
皮膚病を起こす原因で特に多いのは
“細菌や真菌が増えておきる皮膚病”です。
特にわんちゃんで多くみられる、
「膿皮症」の原因になる“細菌”や、「マラセチア皮膚炎」の
原因になる“真菌”(マラセチア)は元々健康な動物さんの皮膚にいて、
環境が整うと繁殖し増えることで皮膚炎を起こしてしまいます。
この時期、私たちも食中毒や、カビなどを気にするようになりますよね。
動物さんの皮膚にいる細菌や真菌もこの時期とても増えやすいのです。
それ以外にも「高温多湿」な気候を好む“やから”がいます。
それは“ノミ”‘や“ダニ”達です。
さきほどお話した微生物達と同様に、
ノミやダニたちもこの季節が大好きで、活動的になり、
一気に増えてしまいます。
●ノミアレルギー性皮膚炎
ノミが原因の皮膚病としては
「ノミアレルギー性皮膚炎」があります。
これは、ノミの唾液に対するアレルギー反応で背中など
強い痒みと共に皮膚炎を起こします。
●アトピー性皮膚炎
また、アトピー性皮膚炎の動物さんたちは、
アレルギー反応がかゆみの原因になっていると考えられていますが、
室内ダニや花粉などに反応していることが多いことが知られています。
そのため室内ダニが原因でかゆみが出る動物さんたちは、
この時期皮膚炎が悪化してしまいます。
さらにアトピー性皮膚炎の動物さんは
先ほどお話した表在性膿皮症やマラセチア皮膚炎になりやすいので
皮膚炎はさらに悪化してしまいます💧
さんざんお話ししてきたように、
この時期の皮膚炎のトラブルの大きな原因は
高温多湿の環境です。
ですので、対策としては、「生活環境を整える」ことになります。
エアコンで室内の温度管理をするのと同時に、
除湿・扇風機などを使って湿度の管理をすることもおすすめです。
また、室内ダニが増えやすい場所(サークルや寝床など)の掃除・洗濯も大切です。
洗えないものは天気の良い日に天日干しするといいですね🌞
生活環境を整えるのと同時に大事なのは
動物さんの「皮膚を整える」ことです。
効果的な対策としては、定期的なシャンプーをおすすめします。
シャンプーの時に注意するのは水温とシャンプー後の乾かしです。
暖かいお湯を使うと皮膚炎のかゆみが悪化してしまうと言われています。
さらに、シャンプーの後に濡れたままにしてしまうと
微生物たちは増えて皮膚炎の原因になってしまうので、
よく乾かすようにしてあげてください。
ただ、このときもドライヤーの暖かい風で乾かすと
熱があがることで痒みがひどくなってしまったり、
熱中症になってしまったりすることもあるのでご注意を!
以上いろいろ長々お話してきましたが、
まとめますと。。。
◎夏場の皮膚病は“温度”と“湿度”が大敵!
◎家などの環境や動物さんの皮膚の環境を整えることで皮膚病を予防することが大切!
私たちも動物さんも環境を整えて、
じめじめ蒸し蒸しした季節をのりきりましょう!
獣医師 寺井 洋子