犬と猫が人間よりも速く年をとるということはよく知られおり、人間の1年は犬と猫の7年に相当するといわれています。
一緒に生活しているので、つい自分たちと同じように年をとると思いがちですが、気づいたときには体のあちこちに変化が起こっている可能性があります。さらに、現在では獣医療の進歩や良質なごはんによって、犬・猫の平均寿命は犬では13歳、猫では14歳にまで延びてきています。その分、昔より高齢に伴って起こる健康トラブルも多くなってきているのも事実です。
犬の年齢表(目安)
1ヵ月 | 2ヵ月 | 3ヵ月 | 6ヵ月 | 1年 | 2年 | 3年 | 6年 | 10年 | |
小型犬 | 1才 | 3才 | 5才 | 9才 | 17才 | 24才 | 28才 | 40才 | 56才 |
大型犬 | – | 1才 | 3才 | 6才 | 12才 | 19才 | 26才 | 47才 | 75才 |
来院の目安
2.3か月に1回、長くても半年に一度、診察を受けることをお勧めします。定期的に体重のチェックで栄養管理を見直し、また触診や視診、聴診などで、病気の可能性を見つけることができ、その際には必要な精査に早期に進むことができます。高齢な動物さんでは以前とのちょっとした違いが、とても重要な意味があることがあります。病気の早期発見・早期治療にはとても重要なのです。
中高年健康サポート・慢性疾患サポート
外見は健康に見えても、若いころとは異なり少しずつ老化に伴って様々な体の変化が起こり、以下のような病気が多くみられるようになります。
また、慢性的な疾患を抱えた子にとって日々の生活(食生活、運動)が病気の状態に影響することがあります。定期的な健康診断と健康維持・老化防止のためのサポート、病気で辛くならないように日々の管理をお手伝いいたします。
主な病気の種類
関節炎
老化に伴って骨が弱くなったり、関節の軟骨がすり減ってしまうことで起こります。
心臓病
大型犬に起こりやすい「拡張型心筋症」、小型犬に起こりやすい「僧坊弁閉鎖不全」などがあります。運動などで心臓への負担が大きくなったときに症状が出やすくなります。咳が出るようになったり、いつもは元気にお散歩や運動をしていたのに最近よく途中で休むなどの症状が見られる場合は要注意です。
歯の病気
・歯と歯肉の間(歯周ポケット)に膿がたまってしまい、最悪の場合歯を抜かなければならない歯槽膿漏(しそうのうろう)
・口と鼻、隔てている骨が解けて貫通してしまう病気(口鼻瘻管:こうびろうかん)
そのままにしておくと、歯周病によって繁殖した口の中のばい菌が血管を通って内臓(心臓・肺・肝臓・腎臓など)に影響を及ぼすので日ごろのケアが必要となってきます。
腎臓病
・慢性腎不全:腎炎などの病気によって腎臓がすこしずつ壊れていき、腎臓が動かなくなってしまうことを言います。これは、なかなか症状を示さない病気なので気付いた時にはかなり病気が進行していることがあります。
生殖器の病気
・子宮蓄膿症:子宮に膿がたまり、そのままにしておくと体の中で破裂してしまい死に至ってしまう病気です。症状としては、発熱、膣から膿のような物が出たり、お腹が膨らんできたり、良く水を飲むようになったりします。この症状が出たときは、早めに獣医師の診察を受けましょう。
・前立腺肥大:前立腺が肥大することによって、おしっこが出にくくなってしまったり、血尿が出たり、便秘になったりします。前立腺の肥大が起こると、細菌感染が起こりやすくなり、膀胱炎にもなりやすくなります。老化に伴いオスのホルモンのバランスが崩れることによって起こるとも言われています。
痴呆
老化に伴って今まで覚えてきたしつけ、生活習慣、運動能力の著しい低下が始まると、飼い主さんとうまくコミュニケーションが取れなくなってしまい、異常な行動をコントロールをできなくなってしまうことを言います。わかりやすい症状として、昼夜問わず単調に鳴くようになった、狭いところに入ると出てこられなくなる、徘徊をする、前進歩行のみでぐるぐる回っているなどがあります。