動物たちの長寿化に伴い、現在では腫瘍がイヌ・ネコともに死因のトップになっています。現在、イヌの死亡原因の25%が「がん」と言われています。さらに10歳以上のイヌだと50%を占めており(日本獣医がん研究会)、がんは10歳以上のイヌの死亡率の第1位を占め、全体の約50%の死亡原因ががんであるといわれています(アメリカでの調査報告)。つまり、全年齢では4頭に1頭ががんで亡くなっていることになります。そこで、より専門的な検査・治療を行うために、当院では月に1回、麻布大学獣医学部腫瘍科医師による腫瘍診療を行っております。まずは「その腫瘍が良いものか、悪いものか?」「治る可能性や期間、他の臓器への転移はあるか?」再発の可能性などを調べ、最適な治療計画を提案します。
リンパ節が腫大するタイプが一般的ですが、腎臓や中枢神経に発生する場合もあります。胃腸管リンパ腫では、嘔吐、下痢、食欲不振がみられることが多いです。
皮膚にしこりを作るタイプが一般的ですが、脾臓や消化管に発生する場合もあります。腫瘍細胞の顆粒に含まれるヒスタミンなどにより、腫瘍周囲の浮腫や赤み、血圧以下や嘔吐、消化管潰瘍が生じることがあります。
脾臓、心臓、皮膚、肝臓、腎臓などのさまざまな臓器に発生し、転移率の高い腫瘍です。脾臓や肝臓では腹腔内出血、心臓では心嚢水貯留により発見されることが多いです。
貧血や腎機能低下、低血糖などの異常がないか調べます。
肺や骨の異常の検出に特に役立ちます。
腹部臓器、必要に応じて心臓や甲状腺、上皮小体の構造を確認します。
針を異常部位に刺し、細胞の形態を観察します。
異常部位を摘出し、外部の専門機関にて組織学的な診断をします。
外科手術だけでなく、抗がん剤治療など治療が長期に及ぶケースも少なくないのが、がん治療の特徴の一つです。ご家族の考えや動物の状態をみながら、幅広い選択肢を提案させていただきます。