ワンちゃん・ネコちゃんの日々の健康を支えるために、予防医療は欠かせません。さまざまな感染症を予防してくれるワクチン接種だけでなく、病気を運んでくるノミやダニが体に寄生しないようにすることも大切です。
また、年齢に応じた検査項目を取り入れた検診は、病気の早期発見に重要な役割を果たします。当院では、人間ドックと同じように、ワンちゃん、ネコちゃんにもドック検査をご用意いたしました。病気の早期発見や定期的な全身検査として、ぜひご利用ください。
イヌの狂犬病ワクチンは、人間のためのワクチンです。狂犬病は人間を含めた哺乳類に感染するウイルス病です。感染した場合に治療をしないと、致死率はほぼ100%と言われる非常に恐ろしい病気です。現在、日本では1957年以降発生が見られませんが、台湾では2013年に52年ぶりに発生したばかりです。人間に対する危険度故に、法律で唯一飼い主さんに義務付けられたワクチンになります。
狂犬病予防法により、生後91日以上のイヌは飼い始めてから30日以内に1回、その後は毎年1回注射を受けなければなりません。必ず予防しておきましょう。
ウイルスは目に見えませんが、確実に存在しています。子犬や子猫は生まれてからしばらくは、母犬・母猫の初乳から得られた免疫で感染症から守られます。しかし、その免疫は長くは続きません。徐々に免疫は低下し、病原体から身を守る力が充分ではなくなっていき、感染に対して無防備になってしまいます。ワクチンを接種し免疫をつけることで、病原体が入ってきてもやっつけることができる力をつけることができます。
生まれてから初めてワクチンを注射するときは、3〜4週間間隔で2〜3回の注射が必要です。2年目からは年1回のワクチン接種が推奨されています。
イヌのワクチンで予防可能な病気 | ネコのワクチンで予防可能な病気 |
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犬パルボウイルス感染症 | 猫ウイルス性鼻気管炎 |
犬ジステンパー | 猫カリシウイルス感染症 |
犬アデノウイルス2型感染症 | 猫汎白血球減少症 |
犬伝染性肝炎 | 猫白血病ウイルス感染症 |
犬パラインフルエンザ | 猫クラミジア感染症 |
犬コロナウイルス感染症 | 猫エイズウイルス感染症 |
犬レプトスピラ病 |
イヌのワクチンで予防可能な病気 | 犬パルボウイルス感染症 | 犬ジステンパー | 犬アデノウイルス2型感染症 | 犬伝染性肝炎 | 犬パラインフルエンザ | 犬コロナウイルス感染症 | 犬レプトスピラ病 | ネコのワクチンで予防可能な病気 | 猫ウイルス性鼻気管炎 | 猫カリシウイルス感染症 | 猫汎白血球減少症 | 猫白血病ウイルス感染症 | 猫クラミジア感染症 | 猫エイズウイルス感染症 |
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フィラリアは蚊を介して感染する寄生虫です。フィラリアに感染している動物の血を蚊が吸うと、血液中にいるフィラリアの幼虫が蚊の中で成長します。その蚊がさらに他の動物の血を吸うと、その時に蚊から動物の中に侵入してしまいます。フィラリアは皮膚や筋肉のあたりでさらに成長を待ち、2ヶ月ほど経つと血管の中に侵入し、フィラリアにとって居心地の良い心臓を目指します。心臓に辿り着いたら、あとはそこで繁殖します。数が少なければ症状は特にでませんが、増えれば増えるほど、心臓の負担は大きくなり、やがて症状が悪化していく病気です。今は薬で予防ができるようになったため、きちんと予防してあげたいですね。
5〜12月頃までが予防期間です。月1回内服薬(散剤、錠剤、チュアブル)を投与します。
ノミ、マダニについての問題は、刺されてかゆいというだけではありません。
問題なのは、病気の運び屋であり、飼い主さんである人間にも危害が及ぶということです。特にマダニについては、2013年から日本でもダニ媒介性疾患の「重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)の発生が人間で確認されており、感染例が増えています。この病気は現在のところ治療法がなく、致死率6.3〜30%と非常に危険な病気です。
通常は4月頃〜10月頃までの予防期間ですが、最近の住宅事情により通年予防をお勧めします。
腸内寄生虫には線虫類(回虫、鉤虫、鞭虫など)と条虫類(マンソン裂頭条虫、瓜実条虫など)があり、これらの寄生虫に感染すると、おう吐・下痢といった消化器症状だけでなく、成長障害、貧血なども引き起こします。糞便検査で見つかりにくい寄生虫については、遺伝子検査(PCR検査)を行う場合もあります。
生後3ヶ月までは2週間に1回、生後3か月〜6か月になると月に1回、生後6か月以降は3か月に1回の頻度で定期的に検査、駆虫することが推奨されています。
去勢手術とは、オスの精巣を摘出する手術、避妊手術とは、メスの卵巣のみ、または卵巣と子宮を摘出する手術のことを言います。去勢・避妊手術は、単に繁殖能力を無くしてしまうだけの手術ではありません。腫瘍など、将来的に起こりうる病気を予防できることが、大きなメリットになります。犬の乳腺腫瘍については、手術をいつ実施するかで、その後の発生率が変化することが報告されています。